PRODUCT >> 2010年 前期 >> 天使DEアクマ
STORY

僕は予備校生。お隣に住んでいるマキちゃんは、僕の住んでいるアパートの持ち主…大家の娘。
…ていうか、あたりの土地を持っている地主の娘。
お金持ちの家に生まれたせいかまぁ、我が儘なことと言ったら…。
僕が勉強していると、いつも遊びに(邪魔しに?)やってくる。
彼女の父親は厳しい人なんだけど、彼女が僕のことをどう言っているか、えらく覚えがめでたい。
まぁ、それもプレッシャーなんだけど…ね。

「マキちゃんさ、僕じゃなくて、T大生とかに教えてもらえば?」
「なんで?」
「だって…現役の方がアタマいいんじゃない?」
「大学生なんて、入試しか勉強しないからダメよ」
「予備校生の方が、よっぽど勉強してるって!」

ニコニコしながら、肩をバンバン叩かれる…励ましているのやら、イヤミ言われているのやら。
しばらくして、マキちゃんが僕の顔をじっと覗きこんできた。

「…なに?」
「何か気づかない?」
「何って……?」

僕がそう言うと、マキちゃんが不満げに唇を尖らせる。

「んもう、お部屋、キレイになってるでしょ?」
「えっ…そういえば……」
「お掃除してあげたんだよ」

と、得意げなマキちゃん。掃除って……。

「えっ?い、いつ?」
「今日」
「お兄ちゃんが予備校に行っている間に」

か…勝手に入ったのか…って、大家の娘だもんなぁ、鍵がすぐ…。
…まさか。無意識に、目線が本棚に行った。
それを遮るように、マキちゃんがぬっと顔を出す。

「あ、あの……さ」
「ンフフ…お掃除してたらさ」
「…いー、もの見つけちゃった」

目を細めて僕を見つめるマキちゃん。その表情は、天使って言うより、むしろアクマ…。
…このときから、僕の運命は大きく変わっていったのだ。